ラヴェル:ピアノ協奏曲、他
>> HQCDリニューアル盤聴き比べ
既に名盤の誉れの高いCDなので、演奏評に関しては通常盤のレビューを参考にして頂くとして、ここでは今回のHQCD盤と従来盤との音質上の比較について書くことにする。ただし私が聴き比べたのはARTリマスターの外盤で98年にリリースされたものだ。オリジナル・マスターは59年の録音なので、それほど期待しなかったが率直に言ってこれだけ明瞭な差が現れるとは思っていなかった。
先ず音量のボリューム自体が全く違う。これはマテリアルを替えた為だけの変化ではなく、むしろ新盤が24bitリマスタリングされた時のレベル・アップとの相乗効果と思われる。特にト長調の協奏曲の冒頭では以前殆ど聴き逃していたスネア・ドラムの弱音のトレモロが完全にそれと判別できる。またソロの管楽器だけでなく打楽器類やハープの音質がより鮮明になり、通常盤ではもの足りなかったオーケストラ全体に臨場感が得られ、オーケストレーションの魔術師と言われたラヴェル特有の色彩豊かな管弦楽法がクリュイタンスのエスプリを飽和させた指揮によってに巧みに再現されていることが改めて納得できる。更に全体的に従来のCDに比較して音質に厚みが加わり、バス・ドラムや2曲目の『左手のための協奏曲ニ長調』でのコントラ・ファゴットの超低音も良く響いている。旧盤ではフランソワのソロ・ピアノに対してオーケストラが若干後退して聞こえる印象があったが、結果的に今回この両者のバランスの改善にも成功している。
いずれにしても音質ではそれぞれの鑑賞者の好みを度外視しても、霞が払拭されたように見通しが良くなっている。価格面でも以前のHQCDの値段から大幅にプライス・ダウンされているので新規に購入したい方には当然ながらこちらの新盤をお勧めする。
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