ベートーヴェン:チェロソナタ第3番&第4番&第5番
>> 二人の巨人的演奏家が組んだ記念碑的演奏
リヒテル、ロストロポーヴィチはそれぞれピアノ、チェロで不世出の巨人的演奏家であるが、二人が組んだ演奏は少ない。代表的な録音としてはこのベートーヴェンチェロソナタ全集と同じくベートーヴェンの三重協奏曲ぐらいであろう。ただ、これら残された録音は比肩するものが未だに現れない金字塔的演奏である。このベートーヴェンチェロソナタのそのスケールが限りなく大きく、雄渾で力強い、求心力のある演奏にはただただ圧倒されるのみである。
第3番でのまさに壮年期の二人が火花を散らすような緊張感と情熱が満ち溢れた演奏は曲想に合ってか比類なきものである。一方、ベートーヴェンの晩年に差し掛かる過渡期に作曲された第4番と第5番はベートーヴェンを全面的に手助けし、人間的にも彼の支えとなったエルディーテ伯爵夫人に捧げられた曲であるが、全体に晩年を予見する悲哀に満ちた色彩と深い響きに支配された大変な傑作である。幻想的で自由な形式の第4番での演奏はリヒテル、ロストロポーヴィチがそれぞれ得意とする曲想もあってか、大変ロマンティックで素晴らしい。また、第5番の壮大な第一楽章での堂々とした風格、宗教的な第二楽章での表現、フーガから成る第三楽章での厳しい演奏。まさに最後のチェロ協奏曲に相応しい巨人的演奏である。
今年はリヒテル没後十年、ロストロポーヴィチが他界した年である。この二人の巨人的演奏家を偲ぶ意味でも彼らが残した記念碑的演奏に耳を傾けていただきたい。
>> 全盛期の2人ががっぷりよつに組んだ演奏が聴けます
ベートーヴェンによるチェロソナタの人気曲である第3番を含むアルバムです。名曲であるだけに、やはり、名演奏家で聞きたくなります。
であれば、全盛期のロストロボーヴィチとリヒテルのコンビはいかがでしょうか。このアルバムの素晴らしさは、チェロソナタだけに、ロストロボーヴィチの演奏が全面に立っているとはいえ、リヒテルも、それをがっちりと受け止め、しっかり、自分の音を主張しているということでしょうか。ベートーヴェンが、第4番について「ピアノとチェロのための自由なソナタ」と題したとおりの競演になっています。その中でも、聞き物は、全盛期の2人のダイナミックな演奏が激突する、豪気な第3番でしょうか。
何れにせよ、ベートーヴェンのチェロソナタファンであれば、お勧めのアルバムです。
>> 厳しく男らしい演奏。
この2人によるベートーヴェンのチェロソナタはどの曲も「太く、硬い音」に支配された、極めて硬派なものです。
美しく歌うというより、ゴツゴツしています。しかし、2人の脂の乗り切った時期の演奏ですので、技術的には鉄壁であり、
なんの不安もありません。ベートーヴェンから「男」を感じてみたい方にお勧めの演奏です。
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