Piano Sonatas
>> シューベルトの優しさに心が満たされる
ベートーヴェンを聴いてケンプの素晴らしさに打たれたが、このシューベルトも素晴らしい。ケンプという人はなぜこんなにも自然に音楽を捉えることができるのだろう。演奏技術は高いに越したことはないが音楽はそれだけではないという真実に気づかされる。
優しくて暖かい音色が心を包み込むようだ。だが、独り善がりなものは何もなく、シューベルトの内面の深みを捉えた端正なまなざしが感じられる。ヘタな演奏家が弾くと平板にしか聴こえないシューベルトだが、本物の音楽家の手にかかるとこれほどまで奥行きのある音楽が現れる。至芸の極みだ。
全集というとなかなか聴き通すのも辛いが、この盤はそんな苦痛とは無縁だ。それどころか音楽を聴く喜びに心が満たされ、いつまでも聴いていたくなる。ケンプの演奏全般に言えることかも知れないが、名演とか名盤とかよりもまさに愛聴盤と言うに相応しい。
>> ほぼ全集
1965-69年の録音で、7枚組、シューベルトのソナタほぼ全集です。
内田光子盤 に比べると録音は古いですが、収録曲は多いです。
内田盤に収録されている即興曲、楽興の時、ドイツ舞曲などは収録されていません。
未完の曲、初期作などにこだわらなければ、内田盤の方がまとまりが良いと思いますが、好みの方を選べばよいと思います。
収録曲は以下です。
No. 21 in B flat major, D. 960
Pieces (5) for piano, D. 459a
No. 19 in C minor, D. 958
No. 20 in A major, D. 959
No. 18 in G major ("Fantasy"), D. 894 (Op. 78)
No. 17 in D major ("Gasteiner"), D. 850 (Op. 53)
No. 16 in A minor, D. 845 (Op. 42)
No. 15 in C major ("Relique"), D. 840
No. 14 in A minor ("Grande Sonate"), D. 784 (Op. posth. 143)
No. 13 in A major, D. 664 (Op. 120)
No. 11 in F minor ("fragment"), D. 625
No. 9 in B major, D. 575 (Op. posth. 147)
No. 7 in E flat major, D. 568 (Op. posth. 122)
No. 5 in A flat major, D. 557
No. 6 in E minor, D. 566
No. 4 in A minor, D. 537 (Op. posth. 164)
No. 2 in C major (unfinished), D. 279
No. 1 in E major, D. 157
>> ケンプの宇宙!
一人の音楽好きの意見です。他の人には教えたくないくらいの素晴らしさ、決して派手でも強い主張をしている演奏ではないのに強くひきつけられます。
シューベルトは皆で楽しんで演奏したり、合唱したりすることが好きだったそうです。小さな世界の演奏かもしれませんが、この上なく美しい天上の音のようです。
心が疲れた時、是非ケンプのしみこむような演奏をおすすめいたします。
何度聞いても飽きない美しさです。
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