Friday, May 27, 2011

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集


ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集
>> 颯爽たるベートーヴェン
ベートーヴェンの抒情性を最大限に発展させた演奏として評価したい。勿論、彼の音楽の構築性、あるいは哲学的な深みや緊張感の表出という観点から聴けば、他にも更に優れた全曲集はある。スークとパネンカは双方ともいわゆる美音の持ち主で、その音色を生かす表現に傾くのは当然だが、かと言ってこのソナタ集がそれほどおとなしいものでないことは第七番ハ短調や第九番イ長調「クロイツェル」のドラマティックな解釈を聴けば納得できるだろう。また嘗ての美音を誇った奏者たちにありがちな耽美的な古臭さは微塵も無く、むしろ現代的なセンスで曲想を把握し、それを洗練された趣味と音色で歌い上げていく颯爽とした表現が魅力だ。アンサンブルとしても緊密で、特に緩徐楽章でのスークの瑞々しい歌い口にパネンカの澄み切ったピアノの音色が良く溶け合って、聴き手を陶酔させる。このピアニストの隅々まで行き届いた、潔癖とも言えるダイナミクスの表出は特筆すべき価値がある。1966年から67年にかけてのスプラフォンの録音で、リマスターされた音質は申し分ない。

No comments:

Post a Comment