モーツァルト:交響曲第25番&第40番
>> 40番は驚愕の名演、本気のウィーンフィルは凄い!
「音が悪い」って評価の音源だったので今まで買わないでいた…後悔してます…でも聴かずに死なないで良かった。
ここまでウィーンフィルの豊かな弦の響きを引き出した演奏は滅多に無い…そういう意味において音は良いです。レバインやムーティの「これって本当にウィーン?」って疑いたくなるよな貧相な音より遥かに良い音です。
52年の40番は、ポルタメントもですが、レガート気味な表現に驚きました。今まではバーンスタイン盤が好きだったけど、こっちが遥かに鳴ってますね。ベーム盤はこれに較べると如何にも力が入り過ぎで硬いなあ。そう言えば宇野先生が一番好きな40番はこの演奏らしい、まあーこの曲はあくまで名演として名高いマーラー「大地の歌」の前奏曲だったと言うのは…ただただ絶句するしか無いね。
25番はちょっと硬い感じ…ベームの40番みたい…ある意味、モーツァルトから逸脱している。十分に鳴らし切って溌剌とした宇野先生絶賛の快速名演なんですが、この曲はバーンスタイン盤が私は好みですね。ただし、これも56年ザルツブルク音楽祭で「レクイエム」の前奏曲として演奏されたものである事を考えればテンポ設定は的確かも。
ってか、いろんな本で、この頃の記述を読んでると当時のオーストリアがヨーロッパの中心だった事がよく解る…羨ましい時代ですね。
>> ワルター凄い!
ワルターの指揮については、以前マーラーの第5番(1947年、ニューヨークフィル)でレビューしたように、ステレオ録音の時代とは全く異なり、きびきびとした演奏をします。交響曲40番は1952年5月18日に、25番は1956年7月26日に録音されたものです。ライブ録音のために聴衆の咳なども聞こえます。まず40番では、第1楽章で曲が高揚するとワルターと思われる「えい!」というような掛け声が聞こえます。後半の25番は出だしから、良くウィーンフィルが一糸乱れず、早い演奏ができると思われる程、早い(4分49秒!)テンポで怒濤のように演奏されます。最初に聴いた時は、プレーヤーが壊れたか?と思うほどの超高速です。モノラルですが、ヒスノイズも気にせず、鑑賞できます。モーツァルトを指揮する事をカール・ベームに勧めたのはワルターなのです。モーツァルトのファンは、これを是非聴いて下さい。
>> 一番よく聴いたクラシックの音盤
LP、CDと、最も数多く聴いたクラシックの音盤と言えば、このワルター、ウィーン・フィルの1枚に止めを刺す。これを聴いたあとでは、ことに25番などどれを聴いてもお気楽なもんだとしか思われない。映画『アマデウス』のマリナーの演奏など、25番が聴こえるたびにガッカリしたものだ。
まあ、ほとんど伝説的な演奏であろうが、この激しさは後年のコロンビア響とのスタンダードとも言えるスタジオ録音と較べても隔絶する凄さである。ワルターは決して穏健な巨匠などではなく、激情を秘めた過激な指揮者なのだ。
40番の思いのたけをすべてこめたようなロマンティックな振る舞いも、底知れぬ怒りと哀しみに満ちているように思えてくる。ナチスに娘やその婿を奪われた体験や、音楽が道徳的に担うものと信じていた規範がことごとく灰燼に帰した無念(ワルターは「音楽には道徳的な力がある」と信じていた)・・・。
それは疾風怒濤の精神のドラマとなって、2つの『ト短調シンフォニー』に具現されている。
評者はここ数年、この演奏よりバルシャイとモスクワ室内管弦楽団のメロディア盤を最も愛聴している。ワルター盤の激しさは、そうやすやすと聴き流せるものではない。怖ろしくなってくるような演奏だと思う。
バルシャイ盤も決して楽天的なものではないが、はるかに温和な演奏だと思う。この演奏こそ、モーツァルトのスコアから、スコアのみから底知れない哀しみを引き出す演奏だと思う。ワルターのは、それこそフランクルの『夜と霧』を想起させるのだ。
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