バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)
>> 森の中を散歩しているみたい。
バッハの無伴奏チェロをはじめて聞いた。聞く前の曲のイメージは、重々しく聞いていると疲れて飽きてしまう曲だと勝手に想像していたが、さにあらず。聞いているうちに森の中を歩いていて、すがすがしい、木の香りを感じるような音楽。ゆっくり歩を進めるようなテンポもあれば、スキップして愉しげにかけていくような曲もある。バッハって、こんな軽やかな音楽も作曲していたのかと思うほどのあかるさがあります。 聞いていて、宮澤賢治の世界を思い出したり、薪で焚いたヒノキのお風呂の香りとあったかさを思い出しました。
>> 演奏はもちろん、解説書も
チェロ組曲はフルニエのものしか持っていなかったので、そんなに色んな演奏を聴いたわけではありませんが、このバッハは生き生きとしていてまさに舞曲であります。
ダンスの持つ野蛮さと美しさを兼ね備えていて飽きさせません。
ピリオド楽器なので半音低く聴こえますが、古楽奏法がどうとか、頭でっかちに聴くというより体感するものが大きい。
更に素晴らしいのが解説書!ビルスマのインタビューも楽曲解説もとても面白く勉強になります。
この解説書を読むだけでもかなり満足感がありました。
>> 舞曲としての無伴奏
本来、組曲は舞曲、踊るための曲だったわけで、それを全く失念しているのがいわゆる朗々系の、
思い入れたっぷり、リズム感のない演奏でした。
(5番前奏曲を例にとると、これはフランス風序曲の様式なのだから、付点拍子のリズムを生かすべきなのに、リズムが死んでる演奏が多い。)
ビルスマ盤はリズム感と、バロック的「語る」様式を重視した演奏で、聴いていてとても楽しいです。
今まで無伴奏チェロ組曲は退屈な曲だと思っていた人には、断然お勧めです。
一方、重厚な演奏が好きな人には物足りないかもしれないので、他の盤と聴き比べてみることをおすすめします。
この曲を子守唄にして寝ている人にも、眠くならないのであまり勧められません(笑)。
録音は1979年で、やや古いですが、音質上、気になることはないです。
なお、この演奏が10数年前にあまり話題にならなかったのは、そのころ本作を含む、
多くの古楽系名演奏が収録されていた「SEON」レーベルが廃盤になり、入手が困難だったためという理由もあります。
その後ソニーより再発売されたため、入手が容易になりました。
当時から評価している評論家は多数いました。
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