Gunter Wand Edition: Beethoven Sym Nos 1-9
>> ヴァント讃
わたしがヴァントに出会ったのは、多くの方々とおなじくブルックナーの演奏においてであった。しかし長いあいだ1枚とか2枚のディスクで堪能しており、ヴァントの資質に気づいたのは恥ずかしながら最近のことだ。
ヴァントの演奏はどれをとっても詰めが徹底している。すぐれた指揮者は皆そうなのだろうがヴァントもまた対象がブルックナーであれベートーヴェンであれブラームスであれ、既存の演奏からまずきっぱりと手を切ってスコアを洗い直し、自分自身の演奏を確立させている。その結果、どんな作曲家の作品にしてもまるで「初めてその曲をきいた」かのような斬新さをあじわうことになる。
ヴァントの指揮は冷徹で厳しいものだ。演奏も内にむかって収斂してゆくタイプで、これをたとえばもっと温和で開放的な演奏と比較してみることも無意味ではないだろう。だがそのように楽しむことは別として、もうヴァントの比類のない「高み」は看過するわけにゆかなくなった。すくなくともわたしにとっては。
ヴァントの演奏スタイルは1980年にはいって北ドイツ放送交響楽団を手中にしたときに確立されていて、そのあとの同曲異演はほぼ、どれも同じだ。よってわたしはベートーヴェンのこの交響曲全集を高く評価するし、ブラームスの交響曲全集についても1980年代の旧録音のほうを支持する(2枚組で収まっているし、廉価なのでなおさらだ)。
加えて録音もまた、素晴らしい。いまのところもっとも美しい音(と残響)できくことのできるセットではなかろうか。
わたしももうトシだ。遅ればせながらもこの全集と出会えたことにふかく感謝したい。たぶんわたしが死ぬまでにこの演奏を同じ路線で凌駕する全集は出るまい。いまのクラシック界をざっと見渡したかぎり、こういう結論になる。
蛇足ながら、このセットもブラームスの2枚セット(外盤)もCD1枚ずつが1枚入れケースに収められていて、奇妙な収納ではないのがうれしい(5枚とか7枚とかがひとつのケースに無理矢理に入っていて困った経験を持つのはわたしだけだろうか?)。
>> ヴァントらしいベートーヴェン交響曲全集
ギュンター・ヴァント指揮&北ドイツ放送交響楽団によるベートーヴェン交響曲全集。
1986年~1990年のデジタル録音。
リマスタリングされてあるので音質が格段に良くなっています。
偶数番の出来が全体的に素晴らしく、奇数番の出来もいいです。
特に1番・2番・4番・8番が素晴らしいです。
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