バッハ・ピアノ・リサイタル
>> ブーニンらしいが・・・
ブーニンの弾くバッハが聞いてみたくて購入。ブーニンらしく正確で音のハッキリした演奏で、速いテンポの曲などは爽快ではある。ただし、個人的に好きな「主よ、人の望みの喜びよ」については、ブーニンの正確な演奏が裏目に出て、あまり好きな演奏ではない(本バージョンの編曲者:マイラ・ヘスの自演奏アルバムが最高で感動します!)。バッハの教会曲(コラール)にブーニンの演奏は正直合わないと感じました。
>> このバッハは違う。
正直言って、バッハの音楽に
あまり親しみを感じることができません。
グールド、アルゲリッチ、ヨーヨーマ、クレメール、
パールマン、ペライヤなど、何枚か持っていますが
ほとんどCDプレイヤーに乗りません。
でもこのアルバムは例外です。
何度も聴きます。
彼が弾くバッハは、とてもいいのです。
バッハというとすぐに
偉大で、重厚で、敬虔なプロテスタントのクリスチャンで
神をたたえる音楽で・・というようなことになるのですが、
そんなものはあんまり聴きたくないんです。
でも彼が弾くバッハは、違います。
純粋音楽として輝いているというか、
バッハの音楽に付く余計な形容詞を取り払って
ただ音楽が、ピアノの粒が、ひかっている。
それはヒラリー・ハーンのシャコンヌ(「デビュー」CD)に
通じる貴重な魅力です。
このCDには、なぜブーニンがバッハを弾き始めたのか、
彼にとってバッハとはどういう存在なのかを語る
ライナーノートがついています。
>> ブーニンもバッハを愛してる
弾く鍵盤が少ないシンプルなケンプの編曲で、コラールプレリュードが静かに流れ、音の一つずつが、耳元で誰かが何かをささやいている、そんな感じではじまります。
えっ何て言ったの、黙ってじっと聴くから、もっと話しかけて!と、ひきこまれる頃には、長調の曲にさしかかってます。
短調の曲を日常の疲れに同調させてから、長調の曲で引っ張りあげてくれる。
人によっては《余りにも荘厳で重苦しい》とされる、バッハの曲を、ブーニンが弾くと、とても優しくて甘いささやきに変わります。
でも収録されている曲のどれも、愛だの恋だのをテーマにしてません。
もしかして、弾いてるブーニンのバッハに対する想いが伝わってきてるのかも。
最後の曲《主よ、人の望みよ〜》の頃には、身も心もすっきりして、心地いいのを通り越して【けだるい満足感】で一杯になります。
うっとりしながら最後の曲を聴き、ふと、
《あれ、ピアノのはずなのに?》と感じます。
ブーニンの魔法。
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