チャイコフスキー&ドヴォルザーク:弦楽セレナード
>> カラヤンでしか出せない音
一時期どこかの会社がCMで使いまくったせいで、実に陳腐になってしまった嫌いがあるが、チャイコフスキーの弦楽セレナーデは、チャイコフスキーの作品の中でも屈指の美しさを誇る曲だと思っている。
それはさておき、チャイコフスキーにロシア的な土臭さのようなものを感じさせないところはあるものの、カラヤンのチャイコフスキーに対する愛情というのはその録音回数をみても並々ならぬものがあるのがわかる。そんなカラヤンによる、弦楽のためのセレナーデであるが、実に美しい。感情的な演奏ではないのだが、その代わり徹底的に弦楽器の音を磨き上げ、曲はよどみなく流れる。そうした演奏スタイルがむしろこの曲の魅力を最大限に引き出しているように思うのだ。チャイコフスキーがなぜ弦だけでこの作品を作り上げたのか、そんなことがなんとなく見えてくるようなそんな演奏。人工的といってしまって片付けるにはあまりにも惜しい美音がここで聴ける。個人的にはこの曲の決定版であり、どうにもほかの演奏を聴いても、常に物足りなさを覚えてしまうほど。
変わってドヴォルザークのほうであるが、やはり美しい弦の響きを徹底させた演奏であることには違いないのだが、チャイコフスキーよりももう少しゆったりとした演奏になっている。フレージングに遊びがあり、弦の響き方にもビブラートを少し変えているのか、適度な柔らかさが感じられる。温度感としてはチャイコフスキーよりもいくらか温かみのある演奏になっている。こちらも素晴らしい演奏。
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