ショパン:12の練習曲 作品10/作品25
>> 私の人生を変えた演奏
高校生の時、巷で話題になっていたポリーニの練習曲集のアルバムを手に入れて自宅の古いプレーヤーで聴きました。作品10ハ長調の冒頭が流れた瞬間、体に響いた衝撃と感動を未だに忘れられません。小学生の時にピアノを習っていたものの、決してピアノが好きな訳ではなく、止めて数年経っていましたが、ポリーニの練習曲を聞いたあとは、「ピアノ」に対する思い入れが新たに沸き起こりました。それから30数年間下手の横好きながら趣味のピアノを細々と続けています。4年前、CD化されたこのアルバムを購入して車のハードディスクに入れて聴いていますが、高速道路を走っているときなどは眠気防止に一番効果があります。
>> 私が言うまでもなくポリーニは世界一のピアニスト
この人のピアノ、世界一ですね。
私は特に革命の、左手の伴奏の低音と高音の端音にいくほど大きくはっきりきこえて、船が嵐の中をゆられながら、右手の明確な船の戦う意思として聞こえるような感じがすきです。
他の人の演奏は、みんなボケてて、好きになれません。
>> これぞショパン!
やっぱり、これぞショパン。
これを聴かずして「ショパンを聴いた」と言ってはいけなかったような……反省してしまいました。
男性的、力強い、怜悧で寸分の狂いもない……そんな言葉が浮かんできます。ショパンの教科書といえばこれ、と言いたくなる完璧さ。
でも決してつまらなくない。それどころか、私のヘビロテシリーズに入っています。聴くと、頭の中が整理されて気持ちいい感じになります。
アルゲリッチのような温度、アシュケナージのようなロマンティックさは、あまりありません。でも全く冷たくないし、華やかでドラマティックで、もっともっと聴いていたくなります。最初の一曲の最初の1パラグラフから、一気に惹きこまれます。
ショパンを聴くならポリーニをまず聴きなさい、と言われたせいもあって、逆になんとなく敬遠してしまっていました。先にアシュケナージやアルゲリッチのファンになりました。「アルゲリッチは、素晴らしいけれど主観的な演奏だ」と言われ、あの情熱的ながらコントロールされた音の響きの何が「主観的」なんだ! というか演奏家が主観的でどこが悪い!と反発したこともありました。
このCDが、ポリーニを聴こうと意識して聴いた最初のショパンだったような気がします。これを聴いて、確かに、アルゲリッチが主観的だという評も頷くことができました。アシュケナージほどに酔いしれないほうが、ショパンの場合は正しいのかもしれないと思うようになりました。
ショパンの演奏には本当に様々なタイプがありますが、ポリーニのこの演奏はショパンの演奏の基準・標準・中心・スタートライン・そしてゴールにあるような気がします。
ポリーニのこの演奏は、シンプルに、尊敬します。これを聴いたからと言って、私にとってアルゲリッチもアシュケナージももちろん輝きは失せませんが、ポリーニのこの演奏は別カテゴリーにあるような気がしました。
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