Bernstein Symphony Edition
>> 交響曲を聴く楽しさが詰まっている
古今の交響曲をCD60枚分、(ある程度の評価の違いはあれ)すばらしい演奏で聞けるのですから、これから交響曲を聞いていこうという人に自信をもってお勧めしたいアルバムです。
このボックスを「バーンスタイン交響曲録音集成」とみるか「バーンスタインによる交響曲百科事典」とみるかによって、収録内容への評価は変わると思います。バーンスタインコレクターにとっては中途半端な感を拭えないでしょうが、通常の購入者向けの商品としては、複数録音からの音源選択も概ね(例外は後述)妥当な企画だと思います。大半の録音は、Bernstein CenturyやMasterworks Heritageでリリースされていたものですから、コレクター向けのリリースではないでしょう。歌曲扱いにされる「大地の歌」や、もともとバラバラの曲を寄せ集めたアイヴスの「ホリデイズ」、さらには全曲録音されなかったベルリオーズの「ロミオとジュリエット」や、交響曲の肩書きが外されることの多い「イタリアのハロルド」などを含まないという律儀な編成もそうした企画だからでしょうね。
もちろん百科事典としては、全曲を網羅していない作曲家も多い訳ですし、特にブルックナーなどの大きな穴はあるわけですが、それはバーンスタインが、ライブを含めても、ごくわずかな例外を除いてレパートリーとしなかった部分ですから致し方ありません。
一方で、1枚の中にモーツァルトとルーセルといった、やや無理な組み合わせのディスクがあるのが、この手の企画の残念な点。また、ベルリオーズとアイヴスに併録されているレニー得意のスピーチトラックがベートーヴェンもついていたらなあ、という思いも残ります。
Sony(CBS/Columbia)に複数録音があるものでは、新盤が採択されたのが、ベートーヴェンの7番(1964)、チャイコフスキーの4番(1975)、バーンスタインの2番(1965)。一方で、旧録音が収録されているのが、「幻想交響曲」(1963)、マーラーの2番(1963)、プロコフィエフの5番(1966)、ショスタコーヴィチの5番(1959)です。
このうち「幻想交響曲」は併録のスピーチトラックが1968録音当時のものだけに、あの歯切れのいい1968録音の演奏を組み合わせて欲しかったというのが正直な感想です。Royal Editionでも誤って1963録音が収録されているだけに、リマスターであの歯切れのいい1968録音が聞けるのはいつになるのか、また待ち続けることになりました。
とはいえ、熱気に満ちた若いレニーの演奏が詰まったこのアルバムからは、交響曲を聴く楽しさを感じられることは間違いありません。その意味で、クラシック音楽に興味を持ち始めた人に絶好のプレゼントになるでしょう。パッケージの大げささも、プレゼントの有り難みに一役買うかも。
>> 世界遺産
重厚なBOX、置く場所が無いなんて言わないで。
さまざまなBOXを買ってきましたがこれが最高です。ぼく宝です。
今のうちに買っておきましょう。
>> 指揮姿を思い出しつつ、じっくり聴こう
実際に届いた箱のサイズに改めて驚いた。
もっとも、バーンスタインの熱心なファンであれば、LD-BOX『バーンスタインの偉大なる遺産III』収録の、まだDVD化されていないドキュメンタリー映像とか、『ヤング・ピープルズ・コンサート』の日本語字幕付きLDとかを、今でも所有しておられ、LD-BOXサイズのソフトを収蔵する棚もお持ちであろうから、おそらく問題はあるまい。
(私も、LD-BOXと並べて棚に入れる予定である)
ベートーヴェンの7番や『幻想交響曲』、チャイコフスキーの4番などは米コロンビアに2回録音してるんだから両方入っているべきだとか、無い物ねだりもいろいろ言いたくなるところだが、買い逃し、ネットオークションで競り負けた諸々が一挙に入手できる喜びのほうが大きい。(プロコフィエフの5番の2回目は、タワーレコードが発売してくれるので問題ない)
改めて幾枚か聴き返しつつ、この時期のバーンスタインとは、まさに冷戦時代・ベトナム戦争の時代の音楽家だったのだなぁ、と思う。
「ダモクレスの剣」にもたとえられた核の傘の下で、強烈なストレスに耐えながら、芸術の永遠性を信じ続ける孤独な天才。
そのタクトが生み出した音楽は、どれも熱く苦い。
豊麗な響きの理想郷に身を浸しながら永遠を夢見た(それはそれで凄いのだが)カラヤンやオーマンディとは違う、現実と向き合い苦悩しつつも永遠を夢見るバーンスタインの、汗にまみれた指揮姿が思い出される。
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